自分にとって大事なお店。


大きな夢、小さな夢
だれにでも多かれ、少なかれ夢はあるとおもいますが、
今日はそんなハナシ。

今、私はセレーノというお店をやっていますが、
自分でお店を開くのがずっと「夢」でした。

そんな夢へのきっかけとなるお店がありました。

もう10年前の話ですが、
私はミュージシャンを夢見て上京し、東京郊外の多摩地域で一人暮らしをしながら、
バンド活動をして、日々の生活費を稼ぐ為に
国立という街でパブのボーイ&料理人&バーテンダーをしていました。
まだ二十歳そこそこの血気盛んなロック野郎
自分は音楽で食べていくぞ!と燃えていながらも来るお客さまは
どこぞの社長やお金持ちの年配の人ばかりでしかもみんな偉そうにしていて
私は夢と現実の間に悩み、フラストレーションだけがたまっていきました。

そんななか、近くにある一軒のBarと出会いました。
まだ40半ばのマスターが1人でやっているカウンター8席程の小さなバーでしたが、
この一軒の小さなお店が「俺も自分でこんなお店をやりたいなぁ!」と思うきっかけとなりました。

マスターは40半ばというのになぜか白髪で長い髪を後ろで縛り、
いつもニコニコと穏やかに笑っていました。
バーを開業する前は鎌倉に住んでいて、国分寺ではサーフショップもやっていた
というちょっと変わったマスターでした。

仕事で嫌な事があったり、これからどうやっていこう?といろいろ悩んだりしていても
マスターと会い、話をするとお店を出る時は「よぉし、明日から頑張ろう!」と思える
私にとってとても大事なお店でした。
マスターは口数も少なく、お客さんの話を黙って聞いている事がほとんどでしたが、
一通り話を聞き終わると、ぼそっと自分の考えを話すのですが、
なんというかポイントを押さえた胸に響く言葉を投げかけるのです。
とってもラブ&ピースなマスターでした。

そんなお店と出会い、私もお店をやりたいと思うようになったのですが,
セレーノもやっぱりあの時の自分と同じように人に元気を与えられる様な
そんなお店でありたい!と思うのが一番の思いです。

辛い事、哀しい事、楽しい事、嬉しい事、
どんなことがあってもセレーノに行って豊かな時間を過ごし
帰るドアを開けた時
「よぉし、俺(私)も明日から頑張るぞぉ!!」と思ってもらえる様な
お店をこれからも目指して、頑張っていきたいです。

今ではこの自分にとって大事なお店は閉店してしまい、
マスターとももう何年も会っていませんが,
私に素敵なきっかけを与えてくれたマスターとこのお店に
こころから【ありがとう!】と言いたいです。

写真は私の大好きなオランダのビール 【グロールッシュ】ですが、
私はこのバーに行くと必ず、グロールッシュを飲んでいました。
(シングルモルトの美味しさと面白さを教えてもらったのもこのバーでした)
セレーノでもグロールッシュを置いていますが,
この瓶を見る度にあの時の思いを忘れないようにと思うと同時に
あのマスターの笑顔をいつも思い出します。

今日はそんな大事なお店のお話でした。

終わり。

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